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M8のハイカム選び。ミルウォーキーエイト用ハイカム何が良い?(その1)トルクカム。

ブログ更新をサボりっぱなしでどうもすみません。ライトサイクル店長の酒井でございます。
(当店インスタグラムではメカニックの上原君がまめに情報更新しているので、是非そちらもご覧下さい!)

さて、今回と次回以降のブログでは、数回に分けて、新型ハーレー M8・ミルウォーキーエイト用のハイカムを各種ご紹介したいと思います

皆様よりハイカム装着と、それに伴うインジェクションチューニング(EFIチューン)をこの2年間で多数ご依頼いただき、本当にありがとうございます。

また現在も日々、M8ハーレーにはどのハイカムを選べば良いのか?といったご相談を多数いただきます。

そこで、今回の(その1)では、代表的なハイカムと特性をご紹介していきます。
次回以降のブログで、それらのカム同士の直接比較対決!結局どれを選べばいいの?編を。

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さて、本題に入りますと、
お客様のハイカムに期待される効果で圧倒的に多いのは、下記の2パターンです。

ご希望1.低速(低回転)~中速(中回転)域の力強さを特に上げたい!
ご希望2.低速~中速域プラス、中速~高速時の加速感もしっかり欲しい!

このようなご希望に合う、代表的なハイカムは下記になります。

一般的に「トルク型カム」と呼ばれるものです。
➀ANDREWS社(アンドリュース) M460 カム。
➁T-man Performance社(ティーマン)M8-200PS 通称T-200カム。
➂ANDREWS社 M462 カム。
➂S&S社 465 カム。
➃純正スクリーミンイーグル SE8-462 カム。

その他のご希望。
ご希望3.中速~高速回転時の伸びをより重視されるお客様。特に高速道路での加速重視。
一般的に「パワー型カム」と呼ばれます。
➀T-man Performance社 M8-216PS カム。
➁S&S 475 カム。
(上記のパワー型カムは最低でも、114”以上のエンジンに向きます。107”とはあまり相性が良くありません。*私の個人的な意見です。)

 

*ここからは、長くなりますのでカムの理屈を言われても良くわからんというお客様は、直接店長の酒井までお問合せ下さい。
ご希望にあった、最適なカムをご提案させて頂きます。

1.「 114”(1868㏄)エンジンモデルの実例。」

まずは、エンジン排気量114”タイプの車両(FXBRSやFXDLSなど)の場合です。
具体的に特に人気のある3種類のトルク型カムの出力データを見ながら簡単に特性をご紹介していきます。

1.ANDREWS(アンドリュース)M462 カム。

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老舗カムメーカーのアンドリュース。最高馬力重視のアメリカのカムメーカーでは珍しく、昔から現在まで、低速~中速の力強さを重視した日本人好みのカムの名作を生み続けています。

このM462カムも低速~中速が非常に力強く、また中速~高速域まで十分なパワーを発揮するオールラウンダー。
日本での発売がやや遅れたこともあり、まだメジャーではありませんが良くできたカムだと思います。
ハイカム装着時の最大デメリットである、低回転でのトルクの落ち込み(グラフ曲線の谷)もありません。(チューニングのテクニックやマフラー特性も影響しますが。)
イメージとしては、後述するS&Sの465カムと475カムのおいしいとこどりをしたといった感じです。

以下は純正状態の2020年式・M8・FXBRS-114”モデルのパワーと、このハイカムを装着して当店でフルチューニングを行った場合の出力比較グラフです。アンドリュースM462 比較表・注釈入り
(最高馬力)108.54馬力 (※純正が78.98馬力⇒ 約29.5馬力アップ)

*約4100回転で100馬力に到達しています。

(最大トルク)174.51N-M (※純正と比較して、約36.8N-Mアップ)

トルク、馬力とも全域に渡って安定してパワーアップしていくのが分かります。
(測定車両仕様)
2019年式FXBRS-114”
*マフラー:S&S グランドナショナルスリップオン
*エアクリーナー:アレンネス インバーテッド 10ゲージ

 

.S&S 465カム。

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こちらも老舗メーカー、S&S社製のトルク型カムです。

低速から中速までスムーズにパワーが向上する良いカムだと思います。
(最近、465カムは低速トルクが極端に弱いのですか?というご質問を受けることがあるのですが、当店で作業している限り特にそのようなことはありません。)

このカムは、発売時期が早かったこともあり、初期の段階では当店でもおすすめのカムでした。
しかし、M462カムやT-200などがラインナップされた現在では、ライバルカムと比較して数値的には全体的にやや劣るかなという印象です。

(S&S465と475カムのどちらを選べば良いか?)

というご相談もよく受けます。S&Sには465の他に、475というカムがあります。
一般的には
➀低速重視なら465、高速重視なら475。
➁排気量107”~114”なら465。114”以上なら475。なのですが、それぞれの違いが今ひとつ微妙。
そもそも、性能、品質、価格の面で、S&S製のカムにこだわる必要性はない、と私は経験的にですが考えていますので、

S&S465、475カムの選択で迷われる場合、以下のカムをおすすめしています。
①ANDREWS(アンドリュース)のM462(またはT-MAN製のT-200カム)です。

これらのカムは低速~高速域までS&S465と475両方の良い面を併せ持った特性を持ちます。
(*あくまでも私の測定実績からの意見です。)

特にアンドリュースのM462カムは価格面でもS&S製カムと同等の為、おすすめです。

以下同様にS&S465カムと純正状態の比較です。

S&S465 CAM比較表-注釈入り

(最高馬力)101.54馬力 (※純正が78.98馬力⇒ 約22.5馬力アップ)
*約4500回転で100馬力に到達しています。

(最大トルク)167.62N-M (※純正と比較して、約24.9N-Mアップ)

トルク、馬力とも全域に渡って安定してパワーアップしていくのが分かります。
(測定車両仕様)
2019年式FLFBS-114”
*マフラー:COBRA スリップオン
*エアクリーナー:アレンネス インバーテッド 10ゲージ

 

T-MAN 200カム(T-200カム)

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おそらく、現在日本で最も装着数の多いカムかと思います。ハイパフォーマンスと高品質で定評のあるトップメーカーです。
チューニングを適正に行えば、低速~中速域を力強くすることができます。
また、3000回転から、さらにグッと伸びる中・高速型カムの特性も持ち合わせています。
こちらも、S&Sの465カムと475カムで迷う方にはおすすめです。トルクを犠牲にせず、最高馬力もかなりいきます。

以下同様にT-200カム装着時と114”純正ノーマル状態の比較です。

T-MAN200 比較表 注釈入り

 

(最高馬力)110.83馬力 (※純正が78.98馬力⇒ 約31.8馬力アップ)
*約4000回転で100馬力に到達しています。

(最大トルク)173.04N-M (※純正と比較して、約35.3N-Mアップ)

トルク、馬力とも全域に渡って安定してパワーアップしていくのが分かります。
(測定車両仕様)
2019年式FXBRS-114”
*マフラー:ラインハート スリップオン
*エアクリーナー:純正ハイフロー(新車時に付いている純正)

 

2.「 107”(1745㏄)エンジンモデルの実例。」
次にエンジン排気量 107”モデル(FXBBやFXLR)の場合をご紹介します。

ご存知のようにM8ハーレーはモデルによって、エンジン排気量が107”、114”、117”と3種類あります。
下記は107”にT-200を装着・フルチューニングした場合の出力グラフです。
純正状態での107”エンジンは114”比べて、排気量差以上にパワーが体感的に劣ります。
お客様からも、低速でもたつき感がある。中速からの加速感が物足りない、というご意見を頂きます。

おすすめのハイカムを入れることによって、この点がかなり改善されるのでおすすめです。

1.T-MAN 200カム(T-200カム)

下のグラフは107”エンジンモデルに、T-200ハイカムを装着した場合のパワーグラフです。

107-T0200と純正比較表・注釈入り

(車両仕様)2018年式 FXLR-107
マフラー:S&Sナショナルグランド レース
エアクリーナー:アレンネス インバーテッド DEEEP CUT

(最高馬力)101.98馬力 (※純正が70.87馬力⇒ 約31.1馬力アップ)

(最大トルク)154.27N-M (※純正と比較して、約30.6N-Mアップ)

低速から高速域まできれいにパワーアップしています。
低速域でも、アクセルをある程度開けながらシフトアップしていくと、かなり強烈な加速感が味わえます。
中速からの伸びに関しても、ノーマル状態よりも”伸びるな!”と体感して頂けると思います。
アクセルを大人しく開けながら走行すれば、疲れるようなピーキー感もなく、状況に合わせた走行が可能です。

また、抜けの良いTBRなどの2イン1のマフラーと合わせると、3500回転からの加速感が強く出ます。

2.ANDREWS(アンドリュース)M462カム

下のグラフは107”エンジンモデルに、アンドリュースのM462ハイカムを装着した場合のパワーグラフです。

こちらも、低速~中速、さらに中速~高速までフィーリングがすごく良い感じです。
低速(1700回転あたり)でスロットルオフからアクセルをラフに開けると、ドン!と加速。
2速、3速、4速あたりでシフトアップしていく中速域も力強く、かなり速い。
また、T-200同様、アクセルを大人しく開ければピーキーな感じがなく疲れません。

M462-FXBB-107-佐々木君 ブログ用2

(車両仕様)2019年式 FXBB-107

マフラー:バンス&ハインズ ビッグラディウス 2イン2
エアクリーナー:アレンネス インバーテッド ベベルド

(最高馬力)95.09馬力 (※純正が71.01馬力⇒ 約24.1馬力アップ)

(最大トルク)148.34N-M (※純正と比較して、約21.68N-Mアップ)

単純にグラフ数値では、上記のT-200カムより少し低めですが、実走行においては、劣った感じは全く受けません。
私個人的には好きなフィーリングで、一般道から高速道路まで楽しめる良くできたカムだと思います。
お客様にも、走りが楽しくなったと好評です。

ここまでは、低中速トルク型カムをご紹介してきましたが、次に、より高速向けのパワー型カムの実例をご紹介します。
(人気のパワー型カム)*といっても、低速スカスカの本物の高速カムではなく、トルク型カムの性質も併せ持つものです。

.T-MAN 216カム

T-MAN216 比較表 注釈入り

最高馬力 118.91馬力(※純正が78.98馬力⇒ 約31.8馬力アップ)
最高トルク 176.03N-M (*純正が137.71⇒ 約38.3N-Mアップ)

*マフラーの抜けが非常に良い2INTO1にT-216カムを入れた場合、このような出力曲線を描きます。
特徴としては、低速域で一度ドカンとトルクが上がり、中速域はやや落ち着いてしまうのですが、3000回転を超えた領域(加速時)から強烈にトルク・パワーが向上します。
4000回転で100馬力に到達しますが、そこからまだ20馬力近く伸びていきます。

高速道路での加速感・ハイスピード・最高馬力重視の方にはご好評です。

(装着車両仕様)
2020年式 FXDLS-114”
・TBR(ツーブラザーズレーシング)2INTO1マフラー
・TRASK(トラスク)製 ハイフローエアクリーナー

 

(次回ブログにつきまして。)
次回以降のブログでは、下記についてもご紹介したいと思います。

1、各種ライバルカムの比較データ
2、ハイカムを活かすもころすもインジェクションチューニング次第。
3、ハイカムを入れることによるマフラー音量や音質の変化。マフラーやエアクリナーの種類による出力特性の違い。
4、ハイカム+排気量アップなど、よりパワーを上げるエンジンカスタム。
5、今回ご紹介できていないその他のカムについて。

なるべく早めにアップできるよう頑張ります!皆様、厳しい社会状況の中ですが、どうか体調にお気を付けください!
当店も、出来る限り通常営業を続けていく所存です。