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(前編)ハイカムを入れたのに・低速でパワーが出ない!改善作業。M8ハーレー・ミルウォーキーエイト。

ブログ更新が遅くてすみません!ライトサイクル店長の酒井でございます。

最近、他店様でインジェクションチューニングや特にハイカムの作業をまで行ったお客様からのご相談が増えております。
多くのショップさんがこの手の作業を積極的に開始された影響かもしれません。
以前は他店様でエンジンカスタムされた車両のチューニングは控えさせてもらっていたのですが、お困りの場合ご相談のうえ作業をせて頂くことにしました。

今回は、他店様でハイカムを入れたところ、低速・中速がノーマル状態よりもむしろパワーダウンしたというご相談と、当店での改善作業について2回に分けてお話したいと思います。

*ご留意頂きたいのは、他店様の作業方針や、チューニグ状態について批評するつもりは全くございません。
あくまでも当店の考えに基づいた作業内容と、その結果をお伝えするのが目的です。
その点ご理解頂ければ幸いです。

 

1.(お客様のご相談内容。)

*車両
2020年式 M8 FLHTKSE-117”CVO ツインクールドエンジン。
車両画像

DSC00004

先日、他店様でハイカム取付け作業とシャシダイナモでのインジェクションチューニングを実施。

*チューニングソフトはディレクトリンクを使用してのシャシダイナモセッティング実施とのこと。
*ステルスエキゾーストパイプ、モーターステージさん製マフラー、アレンネスエアクリナーに吸排気部品は交換されています。

*装着したハイカムは、お店様おすすめのハイカム。
低中速~高速まで全般パワーアップするオールラウンドタイプとご説明を受けられたとのことです。

作業完了・納車されて走行すると、発進~低速・中速で明らかなパワー不足を感じる。

③特に一般道走行の際、アクセルで回転を上げながら、半クラで常に調整しないと、走りがギクシャクするとのこと。

④とにかく乗っていて疲れるので、普通に街乗りできる状態にして欲しい。

⑤最高馬力を求めている訳ではなく、低中速の力強さが欲しい。

このようなご相談、ご希望でした。
私からは、作業されたお店様にまずはご相談されることをおすすめしたのですが、当店での作業をご希望とのことでしたので、見せて頂くこととなりました。

2.(まずは現在の状況を確認。)

①作業実施店様からお客さんが受け取った、出力グラフを見せてもらいました。

他店様の出力グラフは、そのお店様の財産なのでここで公開することはできません。
そこで、私の雑な手書きでのグラフイメージをご覧ください。雰囲気は分かってもらえると思います。

DSC00001

*エンジン回転数1700位からトルクが急激に落ち込み、2300回転で最弱となる”大きなトルクの谷”ができています。

*2700回転位からトルク・馬力が回復し始め、3500回転付近で最高トルクを発生。

*グラフから考察すると、やや中高速型カムの出力特性がみられます。

 (当店のシャシダイナモでの測定グラフは、次回ブログ(後編)にてご紹介します。)

 

 

②(次に、実際に公道テスト走行させてもらいました。) 

*お客様の言うとおり、まず発進時に通常よりエンジン回転を上げて、慎重に半クラを使わないとエンストします。
*低速域でノーマル状態よりもパワーがない感じです。
*アクセルを大きく開けて加速しようとすると、エンジンが吹けあがるまでに時間がかかりもたつく感じがあります。
*アクセルを素早く開けると、エアクリーナーから吹き返しが時々起こります。

*高速道路走行はしていませんので、5000回転以上、時速100キロ以上のテスト走行はしていません。
(お客様が高回転域、高速道路走行でのご不満はないため。)


3.
(低中速でパワーが出ない原因を考えてみます。)


①カム特性の問題 ⇒ 可能性あり 

典型的なトルクカムではなく、やや中・高速型ハイカムの走行フィーリングと思われます。

*日本人が考える低中速カムと、アメリカ人が考えるそれとは別物の場合がありますので、カム選択の際にはご注意が必要です。

また、アメリカではハイカムは中速以上を向上させるのが主な目的で、低速を強くしたい場合はボアアップをするべきという考えが主流のように感じます。


②インジェクションチューニングの問題

インジェクションのチューニングが適正でない場合にも似た症状が出ます。
ただ今回のケースは走行時のフィーリングから考えると、チューニングというよりは、カムそのものが原因と経験的に考えます。

実際に現状の空燃比の測定を当店作業前に確認したところ、各領域で適正範囲のものになっていました。
(当店のチューニングの”味付け”とは異なりますが、お店様によって独自の考えがありますので、どれが正解というわけではありません。)

IMG-2304

ただし、チューニングを行う際は、まずメーカーが提供するベースデータを土台として使うのですが、これの出来が相当アバウトなことが結構あります。
(特にハイカムなどのカスタムエンジン用のベースデーターに見られます。)
この場合、どれだけ空燃比を正確に合わせても、点火タイミングをいじっても、良い結果が出ません

この状態を解消するためには、様々な要素の根本的な変更が必要になります。

 

 

 ③車両自体の不具合という問題。⇒可能性低い

当たり前ですが、バイク自体に何か問題があれば、走行不調をきたします。
ただし今回のケースは、2020年式の新車で走行距離もまだ6000キロ。また、不調を示すトラブルコードも一切記憶されていません.

よって、この可能性はかなり低いと思われます。(念のため、チューニングを行う際に異常がないか確認します。)

以上の現状確認から、今回のケースでは、ハイカム自体の変更と、適切なチューニングで低速部分のパワー改善が可能と判断しました。
次回のブログ、”後編” で、当店での低速部分を中心とした改善作業とその結果をご紹介していきます。

よろしければ、ぜひ読んでみて下さい!