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マスターチューンによるインジェクションチューニング結果 その2

前回のブログに続き、新世代インジェクションチューナー・マスターチューンを
使用した場合の馬力・トルク測定表のご紹介です。
前回のブログと同様に、青い線がチューニング前の測定値で
赤い線が当店でシャシーダイナモも使用してチューニングを行ったあとのものとなります。

*余談ですが、マスターチューンはサブコンですか?とのご質問を時折いただきますが、
フルコンです。正しく言うとフルコンである純正コンピューターをチューニングするソフトです。

       
*車両・2009年式 XL883R          *車両 2008年式 FXCWCロッカー 
*マフラー 北米仕様12ミリドリル加工          *マフラー スクリーミンイーグル スラッシュ
*エアクリーナー・S&Sエアクリーナー        *エアクリーナー・スクリーミンイーグル ハイフローキット

最高馬力40,12⇒51,41 馬力          最高馬力56.40 ⇒ 74.24馬力
最高トルク52.86 ⇒63.83 N.M       最高トルク 98.89 ⇒116.19 N.M
.

         
*車両・2009年式V-ROD・ナイトロッドスペシャル     *車両・2008年式 FLHR 
*マフラー スーパートラップ ファットショット       *マフラー KERKER(カーカー)フィッシュテール
*K&N ハイフローエアクリーナー           *エアクリーナー・ S&Sエアクリーナーキット

最高馬力  86.44 ⇒ 105.22 馬力      最高馬力  61.71 ⇒ 72.53 馬力
最高トルク 84.02 ⇒  96.85 N.M       最高トルク 101.43 ⇒ 110.65 N.M


(ここから先は、話がくどくなります。すいません。)

前回と同様、今回のチューニングでもパワーを無理に上げるようなセッティングはしていません。
それでも、車種により差はありますが、馬力アップはもちろん、
ノーマルのひ弱な低速トルクはかなり改善されています。

ターゲットとする空燃費を濃い目に設定する、点火時期をもっと早めることなどで、
さらに馬力・トルクを上げることも可能ですが、お客様の乗り方によっては
ノッキングを起こす(エンジンを傷める)原因になったり、
燃費が悪化するなどのデメリットのほうが大きいと考えているため、あまり攻めた
セッティングは必要ないと考えています。
何十馬力もパワーアップしたい場合は、カムや排気量アップするほうが効率的です。
勿論その場合もインジェクションチューニングは当然必要になりますが。


ところで、少し専門的な話になりますが、インジェクションチューニングを行う際に
重要になってくるのは、走行中に実際にエンジンに入る空気の充填効率(VE)を
測定し、燃料噴射調整することで、ターゲットとする最適な空燃費(A/F)に実際の空燃費を
一致させるということです。

そうすることでエンジンを異常加熱から守ると同時に
無理なく馬力・トルクアップをはかることができます。

ただし、マスターチューンやツインテックでこの作業を行うためには、
シャシーダイナモの使用が非常に重要になります。
全てのギヤでの、あらゆるアクセル開度、スピード、回転数でデーターを測定・調整する
必要があるためです。
また、マフラーやエアクリーナーの種類、車種によって調整値が全く異なるため
1台、1台シャシーダイナモにかけなければきちんとしたデーターが取れないからです。

公道走行でのチューニングも不可能ではありませんが、
車や信号の多い日本の道路状況では尋常じゃない労力と時間が必要になります。
(私自身、シャシーダイナモを持っていなかった頃、当時出始めたばかりのツインテックで
 セッティングをだすために、夜中の外環をひたすら走り回ったつらい思い出があります。)

マスターチューンやツインテックの場合、空燃費数値を例えば13.5とデーター上に
打ちこんだだけでは、実際にはエンジン内の空燃費はその数値にならない部分が必ず
出てきます。実際にモニタリングした経験のある方ならよくおわかりになると思います。
VE調整値を修正することで、はじめて正しい設定をだすことができます。

酸素センサーが付いてれば、自動的に全部調整されるんじゃないかと思われがちですが、
勿論、酸素センサーからの情報のフィードバックはあり、補正機能も働きますが、
あくまでもVEの調整がきちんと行われなければ、調整にも限界があります。
程度の差はありますが、これはセンサーがナローバンドでもワイドバンドでも同じです。

ただし、サンダーマックスのオートチューンタイプの場合は、この充填効率の測定と
燃料噴射量調整はその名前のとおり、コンピューター自身のオートチューンによって
行われます。
逆に言えば、人が調整することはできませんので、コンピューターを信用するしかないという
ことになりますが。

公道走行のレベルなら必要十分な設定が他のフルコンに比べれば
簡単に出せるようになっていて、その意味では画期的な商品でした。

マスターチューン(純正コンピューター)なみに故障が減り、
さらに信頼度が上がればもっといい商品になるのですが。
ジッパーズ・サンダーハート社には是非とも頑張ってもらいたいものです。


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2009年09月21日 19:22に投稿されたエントリーのページです。

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