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インジェクションチューニングの難しさ。最終回

さて、今回でようやく最終回となりました、マスターチューンによる
コンピューターチューニングの説明ですが、
今回は、当店でのチューニングでの細かなこだわりを一部ですが
ご紹介したいと思います。
(やや専門的な話になりますのでわかりにくい点もあるかと思います。)

その前に、ハーレーのインジェクションシステムについて
ご説明したいと思います。

まず、インジェクションの制御システムには大きく分けて
2種類の方式があります。
①Dジェトロニック方式
②Lジェトロニック方式
(どちらもドイツボッシュ社が開発した商標名ですが)

現在のハーレーのシステムはDジェトロニックシステムと
よばれるタイプのコントロールシステムを採用しています。

Dジェトロニック方式とは、
酸素センサー、マニホールドの負圧、吸気温度、スロットルの開度の
情報が車体側のコンピューター(ECM)に送られ、その情報をもとにECMは
エンジンに充填される(エンジン内に入ってくる空気の流れ)を
予測して、最適な噴射ガソリンの量を計算するという仕組みです。

②一方、Lジェトロニック方式とは、
スロットルボディにエアフローメーターと呼ばれるセンサーが追加され、
実際にエンジンに充填される空気量を直接計測して、ECMにその情報を
送るため、正確な空気の流れをもとに噴射量を計算・決定するシステムです。

それぞれ長所・短所があり、
Lジェトロニック方式は、直接吸入空気量を測定しますので
噴射量計算の精度は優れていますが、コストが高くなる点、
スロットル内に大きなエアフローメーターが取り付くため、吸気抵抗が
大きくなるデメリットがあります。

一方ハーレーが採用している
Dジェトロニック方式の場合、エアフローメーターというでっかい
センサーがスロットルボディ内にないため、吸気がスムーズになる利点が
あります。また、コスト的にも低く抑えることができます。
その反面、直接吸入空気量を測定できないため、どうしても予測にもとづいて
計算がおこなわれるため、やや正確性に欠ける点があると言われています。

また、エアクリーナー交換、マフラー交換、カム交換などによって状況が
変わった場合、セッティングのズレに自動的にあまり対応ができません。

このことが、実際にマスターチューンやスーパーチューナーでの
チューニングに障害となります。

前回のブログで説明しましたように、マフラーについている酸素センサーを利用して
行う、自己学習機能によるオートチューンである、Vチューンやスマートチューンを
正確に行っても、実際にエンジン内に噴射されるガソリン量との間にズレが
見られることや、補正がほんのわずかづつしか入っていかないのは
この予測システムの精度に限界があるためかもしれません。

前回ブログで、当店でオートチューンに頼ったチューニングを行わないと
ご説明したのはそのためです。

では、実際にはどのように当店ではチューニングしているかといいますと、
ターゲットとしている空燃比に本当になっているかをより高性能なワイドバンドの
空燃比測定器で実測しながらセッティングしていきます。
これにより、純正02センサーでは測定できない広範囲な空燃比での正確な
セッティングが可能になります。
勿論、測定する空燃比が正確でなければ、元もこもありませんので、
この点には細心の注意を払います。

例えば、マフラーの種類によっては実測する空燃比が正確にとれない
場合などがあります。

この場合は当店オリジナルで製作した色々なアタッチメントを利用して
より正確なデーターがとれるようにしています。

 
正確な数値を拾えなかったため、ボツになった初期のアタッチメント類です。
改良を重ねて現在は精度のだせるものを作れるようになりました。


また、ダイノジェット社製の高性能ワイドバンド測定器を使用します。
この測定器はシャシーダイナモマシンと連動しており、
専用のパソコンモニターにリアルタイムで空燃比をグラフ表示し
記録もできるというすぐれものです。

 

これらによって、純正システムの予測による燃料噴射量決定システムに
だけ頼ることなく、極端にいうと空燃比10.0~20.0までの測定
調整が可能になり、正確なセッティングができるようになります。


長々となりましたが、インジェクションのチューニングに関しましても
このように妥協することなく取り組みさせていただいていますので
ご安心して当店にお任せください。

ベースデーターや予測したデーターをコンピューターに流し込む
セッティング方法や、シャシーダイナモを使用しない方法を否定するつもりは
勿論ありません。
コストを低く抑えられるという点では魅力的だと思います。

しかし、長い目でみますと、
大切で高価なハーレーをチューニングするのであれば、目に見える形でデータを
取ってチューニングできる、シャシダイナモを使った方法がいいと個人的には
考えています。
ベストで安全なセッティングを行えるという点で、お客様にとっても決して損なことではないと思います。


コメント (1)

タカダ:

スクリーミンイーグル、ステージ2キットを取り付けた08FXCWCロッカーなんですが、インジェクションチューニングするには、いくら位かかりますか?_

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2010年01月26日 00:20に投稿されたエントリーのページです。

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